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広範脊柱管狭窄症

広範脊柱管狭窄症とは頚椎、胸椎、腰椎の広範囲にわたり脊柱管が狭くなり、脊髄神経の障害を引き起こす病気を言います。頚椎部、胸椎部または腰椎部のうち、いずれか2カ所以上の部において脊柱管狭小化が存在しなければなりません。頚椎と胸椎の移行部または胸椎と腰椎の移行部のいずれか一カ所のみの狭小化は除かれます。

男女比は2:1で男性に多く、中年以降特に60歳代に多く認められています。2カ所以上の狭窄部位は頚椎部と腰椎部の合併が7割を占めています。病気の原因として先天性のものもありますが、加齢とともに椎間板や椎間関節の変性が伴って狭窄を生じてくることが考えられています。

主に手足やからだにしびれや痛み、脱力感等を認めます。手足に力が入らなくなると介助を必要とする状態になります。また歩行時に少し休んでは歩くといった間歇性跛行にもなります。排尿や排便の障害も伴うことがあります。軽微な外力、たとえば転倒等で症状が急に悪くなることもあります。治療として局所の安静を必要とします。

そのため頚椎牽引や腰椎牽引さらには固定装具等が用いられます。保存的に治療しても効果がないときは入院して頚椎や腰椎の持続牽引を行います。また神経ブロックも併用することがあります。脊髄の麻痺症状が明らかな場合や、保存治療でも効果がみられない場合は手術療法を行います。

頚椎部では狭窄部位に対して前方から除圧して自家骨をいれて固定する前方除圧固定術や後方から除圧する椎弓切除術や脊柱管拡大術などがあります。最近の傾向として狭窄部位が頚椎に数カ所ある場合は脊柱管拡大術が行われますます。胸椎部では後方から椎弓切除術が行われます。

腰椎部では後方から椎弓切除術や拡大開窓術などが行われます。脊髄麻痺の状態で手術を行っても回復はあまり良くありません。また外傷で麻痺になった方も同様です。時期を失うとたとえ手術を行っても十分な改善が得られないことがあります。

一般に手や足に痛みあるいはしびれが存在する場合、症状は良くなったり悪くなったり反復しますので保存的治療を受けながら経過観察します。しかし手足の力が落ちたりする場合、また排尿、排便障害がある場合、手術療法を行わないと症状の軽減は難しくなってきます。